ぼくと世界とキミ


《『分かりました、それなら私の命を』妹がドラゴンに向かってそう言いました。

『いえ、僕の命を』そう言って兄はドラゴンを見つめました。

それを聞いたドラゴンは深く頷くと、二人に美しい腕輪を一つずつ渡しました。

『これを腕に嵌めている間、お前達の【命】が国を守るだろう。

その代わりにお前達の命は早く減る事になる。……それでもいいか?』

その問いかけに二人は大きく頷くと、美しい腕輪をそれぞれ腕に嵌めました》

そこまで読み上げると、二人の彫刻が目に留まる。

少女の両腕に嵌められた腕輪。

……これは一体……何を意味するのか。

《『ありがとう、森の王様。貴方は本当は優しいのね』そう言って二人がドラゴンの体をそっと撫でます。

『ただの気まぐれだ』そう言ってドラゴンは二人を背に乗せると、空高く舞い上がり二人を森の外まで送りました。

『お前達には森を焼かない人間になってほしい』とドラゴンが言い、それに二人が深う頷いて答えると……ドラゴンは森の奥へと戻って行きました。

二人は絶対に森を守ると心に誓い、自分の国へと帰りました。

その後、二人の命に守られ、その国で魔物に襲われる人はいなくなりました。

二つの腕輪は受け継がれ、国は永遠の平和を手に入れたのです。おしまい》

それから二人がどうなったかは書かれていない。

絵本は平和そうな国の絵を最後に終わっていた。

……最後の絵に……メルキアの旗が描かれている。