それから暫くすると町に明かりが灯り、そのすぐ後に部屋の明かりが点いた。
「……今日はもう寝ようかな」
ポリポリと頭を掻きながら問いかけると、二人も少し疲れた様子で小さく頷いて答える。
フラフラと少し重たい体を揺らし、寝るためにベッドに向かうと……突然その足が止まった。
……そうだ……大事な事を忘れていた。
目の前の綺麗に整えられた《二つ》のベッドを見つめたまま茫然と立ち尽くす。
この部屋はツインルームで……ベッドが《二つ》しかない。
「どうする?」
「……お前が床で寝るのはどうだ?」
その俺の問いにすぐさまジルが意地悪そうな笑みを浮かべてくだらない提案を返す。
「……絶対ヤダ」
そう短く答え非難の視線を送ると、ジルは困った様に笑って肩を竦めて見せた。
「まぁ、仕方ないな。セリアが一人、俺とロイが一緒に寝る。……これしかないだろう?」
ジルが最もな正論を言う。
「……でも……男二人で寝られるか?」
ベッドはどう見てもシングルサイズで、男二人で寝るにはかなり窮屈そうだ。
それに男と密着して眠るなんて……実に気分が悪い。
「嫌ならいいんだぞ?お前が床に寝ても。……それに選択肢は一つじゃないかもな」
そう言うとジルはお得意の意地悪な笑みを浮かべてセリアを見つめた。
「……セリア、俺と一緒に寝るか?」
ジルが突然とんでもない事を言い出す。
「……え……え~?」
ジルのその問いに、セリアは少し困った様に眉を顰めて俺を見る。
「そ、それは絶対ダメだ!!」
そう声を荒げ慌てて二人の間に割って入ると、その俺の慌てぶりを見てジルがおかしそうにクスリと吐息を洩らした。
「じゃあ、お前がセリアと寝るのか?」
そう言ってジルは首を傾げると、ニヤリと笑って俺の答えを待っている。
……くそっ!!
……からかわれてるって分ってるのに!!
途端に顔が真っ赤に染まり、それを振り払う様にブンブンと首を横に振る。
「ば、ば、バカな事言うなよ!!そんな事できるわけないだろ!!」
顔を真っ赤にしてそう叫ぶと、またジルが面白そうに笑った。



