ぼくと世界とキミ


それから十分程しておばあさんは部屋に戻ってくると、美味しそうな香りのする料理を手際良くテーブルに並べた。

「……どうぞ……お召し上がり下さい」

おばあさんの言葉に促され、古ぼけた茶色いテーブルにつく。

「いただきます」

三人で声を合わせると食事を始めた。

しかし……おばあさんが部屋から出て行く気配は無い。

「あの~もう大丈夫だけど?他の部屋の人とか……」

そう言ってさりげなくおばあさんを部屋から追い出そうとしてみる。

……食事をジッと見られているのはいい気がしない。

「今日は……他のお客様はいません。お気遣いなく」

そのおばあさんの言葉に、皆の食事の手が止まった。

「他にいないって……部屋は一つだけしか空いてないって……」

セリアが困惑した様に問いかけると、おばあさんは静かに俯いた。

「他の部屋は訳あって使えないのです。それにこの宿屋は、老人二人で細々とやっているので……一部屋くらいしか手が回らないのですよ」

おばあさんはそう言って小さく笑う。

皺々の頬を吊り上げる笑みが……ちょっと不気味だ。

「そ、そうなんですか」

セリアはあんまり納得していない様だったが、そう言うとまた食事を始めた。