「よく見ろ!!あれは化物なんかじゃない!!婆さんだろ!!」
そのジルの怒鳴る様な説明に、もう一度そっと廊下へと視線を向ける。
よく見ると……それは確かに《婆さん》だった。
蝋燭を持ったヨボヨボのおばあさん。
……でも怖い!!
「停電でお困りかと思いまして……蝋燭をお持ちしたのですが……」
化けも……いや、おばあさんはそう言うと、持っていた蝋燭をそっと部屋のテーブルに置いた。
「……ご、ごめんな」
困った様に頭を掻き、しかし未だ少し怯えながら謝ると、おばあさんは首を横に振ってニヤリと笑った。
その笑った顔が蝋燭の頼りない炎で揺らめき……ちょっと怖い。
「……いえいえ。夕食の用意ができましたのでご用意しても宜しいですか?」
その問いかけに頷いて返すと、おばあさんは身を翻し、老人とは思えない凄い速さでスタスタと部屋から出て行った。
バタンと閉められた扉を茫然と見つめたまま、はぁっと小さく息を吐く。
……そう言えば……セリアは?
さっきから異常なくらいに静かだ。
こんな事があれば真っ先に声を上げたりしそうなんだけど。
そんな事を考えながら薄暗い部屋を見回すと、セリアはベッドにちょこんと腰かけたまま、静かに部屋の扉を見つめていた。
「……セリア?どうかしたのか?」
「ううん……何でもないよ。いきなり暗くなって……ちょっとビックリしただけ」
セリアはそう言って笑うが、すぐに何かを考えるかの様に顔を曇らせた。



