周りの人々は危機が去った事に喜び、口々に《女神》を褒め称えている。
「一体、何が起こったんだ?」
そのジルの問いかけに、興奮した様子の男が嬉しそうに笑った。
「……ああ?あんた達、他所の国の人なのかい?じゃあ知らないのも無理は無いな!!」
そう言って男は興奮した様に頬を赤くし、口を開く。
「このメルキアは《女神様》に守られているんだよ!メルキア領内に居れば、魔物に襲われる心配が無い!今の様に《女神様》が守って下さるんだよ!!」
饒舌に語った男にジルが露骨に怪訝そうな顔をしたが、男は気にも留めない様子で周りの人々の輪へと戻って行った。
……その《女神様》とやらが魔物を消した?
「……女神に守られた国……か」
そう小さく呟くと同時に、揺らめく水面の彼方に……町の淡い明かりが見えた。