「そうだぞ、ジル。あんまりうるさく言うなよ。初めての時くらいは好きな物食ってもいいだろ?……あ、フェルムスープおかわり!!」

そう言って店員を呼び止めると、ジルは更に眉を顰めて俺に非難の視線を送る。

「……お前も……スープばっかり……」

ジルがもう見たくもないかの様にテーブルに積まれた皿の山から視線を逸らし、気持ち悪そうに口に手を当てている。

「別にいいだろ!フェルムスープが好きなんだから!久しぶり記念なんだよ!!」

そう言ってフイッと顔を背けて見せると、ジルは呆れた様に深いため息を吐きシッシと手を振って見せた。

「……もういい。それよりもスカイトレインだ。スカイトレインの乗車駅は、この湖の対岸にあるアルテイルと言う町にあるらしい。対岸にはこの町から船が出ている。明日の朝、出発するぞ……って、お前達!!聞いているのか!?」

そのジルの叫ぶ様な問いに、おかわりしたフェルムスープを食べながらコクコクと頷いて返す。

「聞いてるってば……あっ、ケーキもう一皿お願いします!!」

そう言ってセリアが店員を呼び止めると、ジルはワナワナと体を小刻みに震わせ、ニヤリと引き攣った笑みを浮かべた。

「……もういい!!ワイン!もう一杯!!いやもう一本だ!!」

そうジルが店員に向かって叫び……こうして安息の夜は静かに更けていった。