赤い絨毯が敷かれた長い廊下に、沢山の《元、人間》らしき塊が転がっている。

明かりの消えた薄暗い廊下に転がる塊で、人間の形を留めている者はいない。

それぞれが幾つかのパーツに分かれ、残虐な殺戮者によって無残に食い散らかされているモノもあれば……何か鋭い刃物で切り刻まれた様に傷だらけのモノもあった。

後ろで誰かが嗚咽を漏らす声が聞こえたが、構わずに血に濡れ、肉片の転がる赤い廊下に足を踏み入れる。

ピチャピチャと雨上がりの水溜りを歩く様な不快な音が静かな廊下に響く。

途中何度か転がる肉片に足を取られ転びそうになったが、何とか目的の場所まで辿り着いた。

……目の前にある赤い大きな扉にそっと手を触れる。

開けてはいけないと本能的に感じたが、構わず扉をゆっくりと押し開いた。