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「ハア…ハア……っ…」
『やめろ』
『やめてくれッ!』
『俺からあの子を奪わないで…』
『…か…な……かなッ!』
「ぉい、しっかりせい。」
「わ、かなっ」
今の季節は冬。
まして、夜となれば格段に温度は下がる。
にもかかわらず、彼の身体中からは汗が次々と流れている。
先ほどからはもう何回繰り返したか分からない名前。
悪夢にうなされているであろう彼に心配の色を見せる老人。
この子は一体…どれほどのものを抱えておるのか。
こんな事が起こったのは一度や二度じゃない。
彼が老人の元で暮らすようになった二週間ほど前から、毎日のように続いていることだった。
この子が人間じゃないのは雰囲気で分かるのじゃが……
老人は未だに彼がどういった存在なのか掴めずにいた。
それは老人にとって驚くべきことでもあり、どこか懐かしさを感じるものでもあった。
はっ
として彼が目を開いた。
すぐにはここがどこだか把握できないようで
ぼんやりとした眼差しを辺りにさまよわせる。
「あなたは……」
掠れた声で老人に声をかけるカイ。
「目を覚ましたか。
わしじゃ、シュントクじゃ」
既に名前は伝えていたが、思い出せないのだろうか…
まだどこかぼんやりしているカイ。
「シュ…ントク…さ……ん?」
