想い出はいつも雨

修治、コーヒーをもう一口飲む。

修治「それで、どういう意味なんですか?」

かおり「どういう意味って、そのままの意味よ。無駄な努力してるって思ったから、残念って言っただけ」

修治「・・・」

かおり「理解不能か。じゃあ簡単に言うと、もうあの本売ってないわよ」

修治「えっ」

かおり「確か、あの本かなり前に出版された本で、今じゃ絶版の本よ」

修治「絶版・・・」

かおり「だからあんたがいくら探したって見つからないわけ。分かった」

修治「・・・」

かおり「これで少しはお姉さんの事、見直した?こう見えても本に関してはちょっと詳しいからね」

修治「・・・」

かおり「まったく、人の話聞いてないな。コラ!」

かおり、修治の頭を軽く殴る。

修治「イタッ。何するんですか?」

かおり「人の話はちゃんと聞きなさい」

修治「かおりさんには言われたくないですよ」

かおり「そう、ならいいけど。まだ話の続きあるんだけどな」

修治「続き?絶版で売ってないで終りじゃ?」