恋愛百景



第5話「いつもの関係」

家の前。

いつもの場所で足が止まる。

「じゃあね」

そう言いかけたとき、

「陽子」

名前を呼ばれる。

「今日みたいなときは、ちゃんと頼れよ」

少しだけ真面目な声。

「えー、頼っていいの?」

「いいに決まってるだろ」

即答だった。

(うわ、ずるい)

「なんで?」

小さく聞くと、

宏太は少しだけ視線を逸らして、

「幼なじみだから」

そう答えた。

(……それだけじゃないでしょ)

でも、それ以上は聞けない。

「……分かった」

そう答えると、

宏太は満足そうに頷いた。