恋愛百景



第4話「いつもの帰り道」

外に出ると、空気が一気に軽くなる。

夕方の風が、頬に触れる。

「もう帰る?」

宏太が聞く。

「うん」

気づけば、隣を歩いている。

(結局これなんだよね)

「さっきはありがとう」

「別に」

「なんで来たの?」

少し踏み込んでみる。

宏太は少しだけ間を置いて、

「危なそうだったから」

「それだけ?」

私が聞き返すと、

「それだけじゃダメ?」

少しだけ目が合う。

(うわ、その返しずるい)

しばらく歩いてから、

「陽子ってさ」

宏太が名前を呼ぶ。

「もっと自分で思ってるより、目立つよ」

「は?それ絶対嘘でしょ」

思わず素で返す。

宏太は小さく笑う。

「嘘じゃないって」

「ちゃんとしてるし、優しいし」

「だから寄ってくるんだろ」

(評価高すぎない?)

「やめてよ、そういうの」

「なんで」

「慣れてないから」

正直に言うと、

宏太は少しだけ優しく笑った。