第1話「片想いの始まり」
春の教室は、まだ少しだけ落ち着かない空気に包まれていた。新学期特有のざわつきの中で、亮太は机にカバンを置きながら小さくため息をつく。
「おはよ、亮太」
声の方を見ると、柚木が立っていた。手にはスマホ、画面にはさっきまで見ていたアニメの続きらしきサムネイルが映っている。
「おはよう、柚木。それ、また徹夜で見てたやつ?」
「バレた?でも神回だったから仕方ない」
そう言って笑う柚木は、どこか普通の女子より少しだけ距離が近い気がする。
亮太も同じだ。休み時間はゲームの話か、昨日見たアニメの考察か、どうでもいいようなことばかり話している。それが楽しくて、気づけばそれが日常になっていた。
授業中、亮太はこっそり柚木の方を見る。ノートには授業内容の横に、小さくキャラクターの落書きがあった。
(こいつ、また描いてるし……)
そう思いながらも、少し笑ってしまう。
柚木が好きな作品の話をしているときの目は、やけに真剣だ。その横顔を見るたびに、胸の奥が少しだけ落ち着かなくなる。
理由はわからない。ただ、柚木と話している時間は楽しくて、他の誰かと仲良くしているのを見ると、なぜか少しだけ気分が沈む。
放課後、二人はいつもの帰り道を歩いていた。
「昨日さ、あのキャラの考察見たんだけどさ」
「それ絶対違うやつじゃん。公式情報無視してるタイプのやつでしょ」
「え、マジ?」
そんな他愛もない会話が続く。
夕焼けの中、亮太はふと考える。
この関係は、ずっとこのまま続く気がしているのに、どこかで少しだけ怖い。
——この気持ちを名前で呼んだら、終わってしまいそうで。
そう思いながら、隣で笑う柚木の声を聞いていた。
春の教室は、まだ少しだけ落ち着かない空気に包まれていた。新学期特有のざわつきの中で、亮太は机にカバンを置きながら小さくため息をつく。
「おはよ、亮太」
声の方を見ると、柚木が立っていた。手にはスマホ、画面にはさっきまで見ていたアニメの続きらしきサムネイルが映っている。
「おはよう、柚木。それ、また徹夜で見てたやつ?」
「バレた?でも神回だったから仕方ない」
そう言って笑う柚木は、どこか普通の女子より少しだけ距離が近い気がする。
亮太も同じだ。休み時間はゲームの話か、昨日見たアニメの考察か、どうでもいいようなことばかり話している。それが楽しくて、気づけばそれが日常になっていた。
授業中、亮太はこっそり柚木の方を見る。ノートには授業内容の横に、小さくキャラクターの落書きがあった。
(こいつ、また描いてるし……)
そう思いながらも、少し笑ってしまう。
柚木が好きな作品の話をしているときの目は、やけに真剣だ。その横顔を見るたびに、胸の奥が少しだけ落ち着かなくなる。
理由はわからない。ただ、柚木と話している時間は楽しくて、他の誰かと仲良くしているのを見ると、なぜか少しだけ気分が沈む。
放課後、二人はいつもの帰り道を歩いていた。
「昨日さ、あのキャラの考察見たんだけどさ」
「それ絶対違うやつじゃん。公式情報無視してるタイプのやつでしょ」
「え、マジ?」
そんな他愛もない会話が続く。
夕焼けの中、亮太はふと考える。
この関係は、ずっとこのまま続く気がしているのに、どこかで少しだけ怖い。
——この気持ちを名前で呼んだら、終わってしまいそうで。
そう思いながら、隣で笑う柚木の声を聞いていた。
