恋愛百景



第2話「いつもの放課後」

放課後。

「ねえ、今日ゲーセン行かない?」

美咲が机に身を乗り出してくる。

「え……人多くない?」

思わず本音が出る。

「大丈夫だって、ちょっとだけ!」

(いや、大丈夫じゃないやつ)

でも、断る理由も見つからなくて——

「……じゃあ、少しだけ」

そう答えてしまった。



ゲームセンターは、やっぱり苦手な場所だった。

眩しい光と、重なる電子音。
人の声が混ざり合って、落ち着かない。

(うん、知ってた。無理なやつ)

「陽子、これやろうよ!」

「う、うん……」

慣れない手つきでボタンを押す。

画面に集中して、周りを見ないようにしていた、そのとき。

「ねえ、それ下手じゃない?」

背後から声がした。

振り返ると、知らない男子が二人立っている。

「教えてあげよっか?」

距離が、近い。

「……大丈夫です」

自然と声が小さくなる。

「いいじゃん、せっかくだし」

一歩、詰められる。

(近い近い近い、無理無理無理!)

腕に触れられそうになって、反射的に下がる。

その瞬間——

「やめとけって」

低い声が、間に割って入った。