恋愛百景



エピローグ「あの夏の続き」

夏休みが終わり、学校が始まった。

教室には、いつも通りの声が戻っている。

でも、私の中では——あの夏が、まだ続いている。

机の上には、あのクマのぬいぐるみ。

誰が見ても、ただのぬいぐるみ。

でも私には分かる。

(ここに、いたんだよね)

最初は、何もできなかった。

毎日泣いて、前を向けなかった。

でも——

「君の笑顔が見たい」

その言葉を思い出すたびに、少しずつ変わっていった。

友達と話す。
笑う。
普通の日常を過ごす。

まだ寂しさは消えない。

それでも——

私は前に進んでいる。

ぬいぐるみを抱きしめ、そっと呟く。

「ありがとう」

そして——

「さようなら」

窓の外では、夏の終わりの風が吹いていた。

あの夏は、もう戻らない。

でも、あの夏に出会った想いは、ずっと消えない。

だから私は、これからも歩いていく。

彼が願った未来へ——