恋愛百景



エピローグ「あの日の続き」

あれから五年。

夕暮れの光が、部屋を優しく包む。

母の遺影の前に、私は子どもと並んで座っていた。

「おばあちゃんに挨拶して」

小さな手が、静かに合わさる。

その姿を見て、胸が熱くなる。

(見てるかな)

「ただいま、おばあちゃん」

あの頃は想像できなかった未来。

悲しみは消えない。
でも、それ以上に——今は温かい。

子どもが手を引く。

その温もりが、すべてを包み込む。

その子の名前は——
【早川陽向】。

「陽向、行こうか」

振り返ると、早川さんがいた。

変わらない優しい笑顔。

私は小さく頷く。

(ちゃんと、前に進めてるよ)

そう心の中で伝えながら——

私は、静かに微笑んだ。