気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


「ただいま。」

「おかえりなさい。広大さん。」

都の声がいつもよりやけに弱々しい。

リビングに入ると、都がソファに座り、俯いていた。

「どうした?都。」

顔を上げた都の目がウサギのように赤い。

もしかして泣いていたのか?

都が小さな声で言った。

「看護師さんと付き合っているそうですね。」

「え?」

「三田美奈三さんが病院で聞いたと教えてくれました。広大さんと看護師さんが親密な関係だと。」

三田権三の娘か。余計なことを。

「都。誤解だ。俺と今井看護師はなんの関係もない。もし必要なら一筆書かせる。」

「いいんです。仮交際中は3人まで同時進行でお付き合いが可能ですから。広大さんはなにも間違っていません。」

都のビジネスライクな物言いに、俺は悲壮感で一杯になった。

「君はそれでいいのか?俺が他の女と同時進行で付き合っても。」

「いいも悪いも、そういうルールですから。」

「ルールなんて今は関係ない。都の気持ちを聞いている。」

「・・・・・・。」

「俺は都が他の男と付き合うなんて、絶対に嫌だ。それはルール違反なのか?」

「ルール違反です。」

「そうか。」

都にとって、俺はそれっぽっちの存在なのか。

俺は天を仰いだ。

そうしないと目から液体が・・・