しかし親父は呆れた顔で、首を振った。
「見合いならもう3回したろ。」
「え?」
「おまえ、その3人の女性すべてをスルーしただろ。忘れたのか?」
「え?」
たしかに親父に紹介された何人かの女性と食事に行った記憶はある・・・あれ見合いだったのか。
「おまえは鈍感だからな。」
1日に2回も鈍感と悪口を言われるとは・・・
「おまえからこんな情熱的な言葉が聞けるなんて、富士山が噴火するかもしれない。」
1日に2回も富士山の噴火を予言されるとは・・・
「都さんか。おまえをそこまで変えた女性だ。きっと心根が優しく、しっかりした良い子なんだろう。」
「ああ。俺にはもったいないくらいの女性なんだ。親父もきっと気に入るはずだ。」
「父親として実に喜ばしい。うまくやれよ。早く孫を抱かせてくれ。」
「わかった。期待に添えるよう努力する。」
親父がニヤリとしながら親指を立てて言った。
「グッジョブ。」
院長室を出て、医局へ向かう。
反対されるどころか、励まされてしまった。
しかし、あの無駄に重厚感のある態度は、なんだったんだ?



