嫌なことを言うな。
鈍感なのは自覚している。
都にも、俺は気が利かないから、思ったことがあったら何でも言って欲しいと伝えてある。
ノックをして院長室に入ると、親父が座れと目で訴えてきた。
俺は部屋の中央にある、来客用のソファに座った。
親父も俺の向かいのソファに座る。
そして黙ったまま、なにも話さず俺の顔をじっと見ている。
「親父、何か用事でも?俺も忙しいんだ。」
親父は目を閉じ、そしてゆっくりと開け、やっとのことで重い口を開いた。
「広大。おまえ、女性と付き合っているんだってな。婚約者がいると言う話も聞いた。おまえがふたりの女性と付き合えるとはびっくりだ。」
「付き合っている女性と婚約者は、同一人物だ。」
「どういうことだ?」
俺は諸事情を省き、都と仮交際をしながら同棲をし、ゆくゆくは結婚したい旨を親父に話した。



