「そうか。」
広大さんは俯き、しばらくして顔をあげると私に言った。
「キスしてもいいだろうか?」
「ここでですか?」
「ここがいい。」
「私、汗かいてます。」
「それでもいい。」
私の答えを待たず、広大さんは私の頬を両手で支え、唇を重ねた。
マーマレードのように甘い甘いくちづけだった。
そしてその唇が私から離れた。
「残念です。」
私の言葉に、申し訳なさそうな顔で広大さんが目を伏せた。
「悪かった。君の了承も取らずに。」
「初めてのキスが、広大さんじゃなかったことを残念に思ったんです。」
広大さんが、春の日差しのように柔らかい笑みを浮かべた
「じゃあ、初めてのキスを忘れるために、これから数え切れないくらいキスをしよう。」
広大さんの唇が、再び私の唇にそっと触れた。



