気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


仕事が終わり、自宅に戻ると、すでに都がいた。

昨日の出来事はすべて夢だったのかもしれないと、なかば本気で思い始めていた。

それが現実だとわかり、嬉しさと不安が同時に込み上げる。

一緒に住むということは、自分のすべてをさらけだすということだ。

そんな濃密な付き合いを女としたことは、一度もない。

外ではイケメンだの天才だのともてはやされることもあるが、プライベートの俺を他人に見せることはめったにない。

小学校の通知表は、学業の成績はオール5だったが、担任からの一言評価には「穏やかでとてもいい子ですが、たまに心がどこかへ飛んでいくようです。」と書かれていた。

今でも意味がわからない。

親父や総一郎には「おまえは女の気持ちをまったく理解していない残念イケメンナンバーワン男だ。」とよく悪口を言われる。

しかしそれを否定できない自分がいることも確かだ。

女が男のどんな行動に幻滅するのか、俺の中にそんなデータは存在しない。

ここで都に嫌われるようなことをして、仮交際終了と判断されたら、俺はこれからどうやって生きていけばいいのか。