「それはそうと、あの日は口裏を合わせてくれて助かった。このことはくれぐれも俺と佐島だけの秘密にしてくれ。いつか必ずこの借りは返すから。」
佐島は俺の記憶障害の嘘を、いち早く気付いた。
しかし俺の渾身の頼みを渋々受け入れてくれ、都に上手い具合に説明してくれた。
「波川先生は女性に興味ないのかとずっと思ってましたけど、先生も普通の男なんですね。」
「・・・・・・。」
普通の男ってなんだ?
俺はずっと普通の男だが。
「佐島。あと1時間経ったら起こしてくれ。大事な約束があるんだ。」
「わかりました。起こしたらちゃんと目を覚ましてくださいよ?」
「ああ。」
俺は再び目を閉じて、深い眠りに落ちていった。



