俺は、記憶など失っていない。
そんな韓流ドラマみたいなことが、そうやすやすと起こるわけがない。
都と初めて出会ったとき、婚活においての心構えを説教されたこと。
それに対し、俺が都にデリカシーのない言葉で皮肉を言ったことや、なぜか態度を翻した都とツーショット写真を撮ったこと。
都を待ち伏せして尾行し、波川病院で階段から転げ落ちたこと。
それら一連の出来事は、はっきりと海馬に刻み込まれている。
そして目覚めたとき、これまでの出来事と、三田権三の娘の発言や都の様子を結びつけ、瞬時に自分が置かれている状況を把握した。



