気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


「ごめんなさい。私」

そう言いかけた私の両手を、波川広大は強く握りしめた。

「君は俺の婚約者なんだよな?」

「え。」

「あなたは波川先生の婚約者なんですか?」

佐島医師が、厳しい口調で私を問い詰める。

「はい!そうです!ねっ都ちゃん。」

私の代わりに美奈三が右手を挙げて、元気よくそう答えた。

「佐島・・・俺、ここ最近の記憶が曖昧で・・・もしかしたら」

波川広大が頭を抱えながらそうつぶやくと、佐島医師の表情が深刻なものになり、部屋の隅で心配そうに様子を伺っていた中年女性の看護師に告げた。

「風間看護師長。これから波川先生の脳のMRIを取ります。至急検査の準備と手配をお願いします。」

「了解しました!」

風間看護師長はそう言って敬礼し、急いで部屋を出て行った。