気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


院内に入り、一定の距離をおいて都と三田権三の娘の跡を歩いていると、階段の途中で風間看護師長とすれ違った。

風間看護師長は目ざとく俺をみつけ、大きな声で話しかけた。

「波川先生!今日非番じゃなかったんですか?!また緊急オペで呼ばれたんですか?!」

「いや、ちょっと忘れ物を取りに来ただけです。」

「まったく真面目なんだから!仕事もいいけどプライベートも大事にしなきゃ!!」

バカでかい声を出すな。

尾行に気付かれるだろうが。

案の上、その声に呼応したように、階段を降りてくる足音が聞こえて来た。

三田権三の娘が、俺を見て大きく手を振った。