しばらくすると、波川先輩から我が家へ定期的に餅が送られてくるようになった。
どこかの高級和菓子ショップで購入したものかと思いきや、どこの店名も書かれていない。
一緒に送られてきた封書には「手作りだから早めに食べるように。」と書かれていた。
高いモチ米を使っているからか、はたまた心がこもっているからか、癖になるような美味しい餅だった。
その餅は不定期に送られてくる。
2年くらい間が空いたかと思うと、3日連続で送られてくることもある。
噂によると、波川先生は奥さんの機嫌が悪くなると餅をつき、仲直りしているらしい。
それは僕が結婚した後も続き、妻は「早く波川先生と奥さんが喧嘩しないかしら」などと不謹慎なことを言っている。
僕が65歳になった頃、餅ではなくどら焼きが送られてくるようになった。
多分、奥さんが餅を喉に詰まらせたに違いない。
そしていま現在も、忘れた頃にどら焼きが送られてくる。
それを見るたびに、波川先生と奥さんが仲直りしたんだな、と微笑ましく思う僕なのであった。



