波川先輩と保土ケ谷都さんが結婚した。
次期院長になるような人だから、さぞ豪勢な結婚式を挙げるのかと思っていたけれど、婚姻届を出しただけだったという。
それはいいとして、僕は先輩と奥さんが結ばれる重要な役割を果たしたはずだ。
借りは必ず返す、などと言っておきながら、波川先輩からなんの謝礼もない。
そんなに恩知らずな人だとは思わなかった。
そう憤っていると、ある日波川先輩から温泉マークの装丁がされた箱を渡された。
「佐島。新婚旅行の土産だ。熱海の名物まんじゅうなんだ。食べてくれ。」
「ありがとうございます。頂きます。」
たったこれっぽっちで借りをチャラにしようという魂胆か。
僕は落胆した。



