子供達が10歳になった。
私達夫婦はお互いをパパやママとは呼ばない。
私はいままで通り「広大さん」と呼ぶし、広大さんも私を「都」と呼ぶ。
妊娠してすぐに、広大さんが私に言った。
「俺をパパと呼ばないでくれ。俺は君の父親じゃない。」
「私も広大さんから、ママと呼ばれるのは嫌です。私はバーのマダムじゃありません。」
週に一回、私と広大さんはふたりだけで、個室に閉じこもる。
「松也、新之介、勘太郎。仁左衛門。これから俺と都だけの時間だからな。くれぐれも邪魔しないように。」
「はーい。ごゆっくり。」
子供達もいつものことだと心得ていて、このときとばかりに、4人でゲームをして遊んでいる。
私と広大さんは、個室に置いた二人掛けのソファに並んで座る。
「都。そのエプロン良く似合ってる。ペンギンみたいで可愛い。」
「広大さん。私の膝に頭を乗せてください。耳かきしてあげます。」
「こうか?」
広大さんは、甘えるように私の膝に頭を預けた。
耳かきの途中で、広大さんはすやすやと眠ってしまった。
その無防備な寝顔が、とても愛おしい。
「おやすみなさい。私だけの広大さん。」
私は広大さんのおでこにそっとキスをした。
fin



