院長室に呼ばれ、ノックをし部屋に入ると、親父が窓の外を見ていた。
最近、親父がやけに小さく感じる。
この病院で働き始めたときは、親父の背中が大きく威厳に満ちて見えたものだ。
俺もそれだけ歳を取り、経験を積んだということだろうか。
親父は振り向き、俺に言った。
「広大。おまえ、有給が余っているだろ。」
「ああ。しかし、俺のオペを待っている患者がいるかぎり休めない。」
「つけあがるな。お前が少しくらい休んだって代わりくらいいる。」
「俺の代わり?」
俺の代わりが勤まる心臓外科医なんて、この病院にいたか?
「誰か他の病院から呼ぶってことか?」
「俺が執刀する。」
「親父が?」



