「都。写真だけでも撮らないか?」
「えっ?」
「実はウエディングフォトを撮ってくれる写真館を予約しておいた。どうしても都の花嫁姿が見たい。夫としての特権だ。それくらいはいいだろ?」
「嬉しいです。私、本当は白無垢が着たいんです。」
「じゃあ、白無垢を撮ろう。」
広大さんのお父様が懇意にしているというその写真館は、昭和の面影を残した古い洋館だった。
私は写真家の奥様と思われる女性に、着付けを手伝ってもらった。
「まあまあ、可愛い花嫁さんだこと。旦那様も鼻が高いわね。」
髪をシニヨンにし、白い花飾りを付けた白無垢姿の私を見た広大さんは、しばし黙り込んだ。
私の目に、黒紋付羽織袴の広大さんが映る。
この世でたったひとりの、私の大大大好きなひと。
広大さんが囁いた。
「都。一度しか言わない。君を宇宙で一番、愛している。」
私は答えた。
「広大さん、わりとよくその言葉、ねごとで言ってます。」



