11月11日に、私と広大さんは役所に婚姻届を出しに行った。
婚姻届の証人欄には、下星川三也子と小沢総一郎の文字が並んでいる。
広大さんの勢いのある整った字で書かれた名前の横に、私は丸く小さな字で「保土ケ谷都」と書いた。
この名字も今日で最後。
本当に私は広大さんのお嫁さんになったんだ、と実感した。
そして広大さんは私の大切な旦那様。
ひょんなことから始まったふたりの関係が、まさか本当に夫婦になろうとは。
これが運命というものなのだろうか。
役所の職員が、おごそかな声で言った。
「ポッキー&プリッツの日、ご結婚おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
私と広大さんも、丁寧に頭を下げた。
手続きを終え、広大さんがしみじみとつぶやいた。
「これで俺と都は正真正銘、夫婦になったんだな。」
「はい。正真正銘夫婦です。」
「波川都、か。いい名前だ。まるで俺の嫁になるために付けられたようだな。」
私はためらいながらも、自分の胸の内を聞いてもらいたくなった。
「夫婦になったので、隠し事は無しにします。」
公園の脇に停めた広大さんの愛車の助手席で、どうして自分が結婚式を挙げたくなかったのかを、正直に打ち明けた。



