気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


私の返事に広大さんはガッカリしたはずだ。

そのことが私の心を沈ませ、項垂れた。

けれど広大さんは私の頭に手を置き、なんのてらいもなく言った。

「じゃあ、式はやめよう。婚姻届だけ出せばいいな。」

顔を上げると、そこには広大さんの穏やかな笑顔があった。

「理由を聞かないんですか?」

「都がしたくないことは、俺もしたくない。都が俺の妻になってくれる、それだけで満足だ。」

「ご両親や病院関係者の方に、なにか言われませんか?」

「そんなの、どうとでもなる。俺の人生だからな。」

「ごめんなさい。」

私は再び俯き、肩を震わせた。

「泣くな。大したことじゃない。」

広大さんはそっと私を抱きしめた。