気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


最近都は、やたら不思議系の話を俺に語ってくる。

「友達の友達は宇宙人だった!」というサムネに釣られてクリックしたチャンネルが、どうやら怪談系だったらしい。

都には申し訳ないが、俺はその手の話を信じていない。

幽霊を見るのは脳のバグだし、金縛りも科学的根拠が証明されている。

「広大さん。このマンションを借りるとき、事故物件サイトを確認しましたか?」

「事故物件サイト?」

「心理的瑕疵がある部屋を、事故物件と呼ぶんです。それを確認できるサイトがあるんです。」

「事故物件はお化けが出る部屋って聞いたことがあるな。」

「出るというか、出そうというか、残念なお亡くなり方をした人が住んでいた部屋なので。」

「それは気の毒なことだな。」

「この部屋も、浴室から女性の声が聞こえます。」

「それは風呂が沸いたお知らせだろ。」

「ばれましたか。広大さんを驚かせたくて。」

俺を驚かせたいなんて・・・可愛い。

しかし、そういったネガティブな話は心臓に悪い。

都の心臓が、万が一心不全を起こしたら・・・。

俺は都をたしなめることにした。

「そんなことを言ったら、どこもかしこも事故物件だらけだ。この長い歴史上では、常にどこかで誰かが息を引き取っている。事故物件なんて俺は怖くない。第一このマンションは新築だ。都、君は最近超常現象にハマり過ぎているみたいだな。少し控えた方がいい。」

都はしょぼくれて頷いた。

「そうですね。少し控えます。」