「広大さん。こんな話があるんです。」
都が眉間を寄せながら、言った。
「ある女性オペラ歌手の体験談なんですけど、ある日、舞台でインド舞踊を踊っていたそうです。」
オペラ歌手がなんでインド舞踊を踊るんだ?
まあ、サンバを踊る俳優もいるから、おかしくはないか。
「そして舞台が終わり袖に戻る途中に、ピンクのターバンを巻いた女性とぶつかったそうです。けれど、その舞台の出演者に、ピンクのターバンを巻いた女性は存在しなかったそうです。その日の出演者はみな、銀色のターバンで揃えていたとかで。」
「誰か銀色とピンクのリバーシブルターバンを巻いていたんじゃないか?」
「違います。この女性はこの世のものではないんだと思います。」
「お化けってことか?」
「そう思わざるを得ません。その女性オペラ歌手の方は言ってました。彼女はきっとこの舞台にどうしても立ちたかったダンサーの霊だったのではないかと。」
「・・・・・・。」



