仕事が終わり、電車に乗って広大さんのマンションへ帰る。
そんな生活にすっかり馴染んでしまったけれど、このまま広大さんと関係を続けていっても良いのだろうか。
立花さんに偉そうにアドバイスしたくせに、自分は広大さんに嘘を付き続けているではないか。
広大さんの記憶が喪失したのをいいことに、私はずっと彼の婚約者を演じ続けている。
もし広大さんの記憶が戻ったら、どうなるのだろう。
広大さんは私に幻滅し、離れていくかもしれない。
初めは広大さんの記憶が戻るお手伝いをするために、婚約者を演じていた。
でも今では、広大さんの記憶が戻るのを、嵐が来る前の野ねずみのように怯えている。
記憶が戻ってから嫌われるより、自分から打ち明けた方がいいのかもしれない。
嫌われてしまうのならいっそ自分から離れた方が・・・。



