気がついたら天才心臓外科医と婚約していました


保育園のお祭りが終わり、広大さんを実家に招いた。

家には父もいて、広大さんの身体が緊張で固くなっているのがわかった。

父の前で正座をした広大さんは、畳に頭をつけて言った。

「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。波川広大と申します。将来のことを考えて、都さんと真剣交際をしています。絶対に都さんを幸せにします。」

まだプロポーズもされていないのに。

でも顔がにやけてしまう。

母が広大さんの宣言に助け船を出した。

「お父さん。広大さんは私に肩のマッサージをしてくださるって約束してくれるくらい、心優しい人なのよ?」

父は険しい顔で言った。

「都との交際は許す。しかし母さんの肩をマッサージすることは絶対に許さん。」

私もすかさず言った。

「私もお父さんに賛成です。広大さんが、今度誰かの肩をマッサージしたら、別れます。」

広大さんは母に頭を下げた。

「お義母さん。約束を破ることになり、申し訳ありません。都さんと別れたくないので、肩のマッサージは辞退させて下さい。」

「うむ。」

広大さんと父は握手を交わした。

「あらあら。気にしないで。」

母もどこか嬉しそうだ。

ふたりは似たもの同士なのかもしれない。