「あ、お兄ちゃん!」


息子が驚いた顔で言う。王子は恥ずかしそうに私のほうを見る。


「悪いんだけど、マヨネーズきらしちゃってさ。ちょっと貸してくれないかな。」


「あ、良いよ。ちょっと待って。」

私は冷蔵庫からマヨネーズを出そうとした。
息子が玄関のほうへ走っていくと、王子の手を引っ張った。


「お兄ちゃん、一緒に食べようよー。」


王子は、ふいに手を引かれて玄関で膝をついた。

「こら、だめよ!お兄ちゃん困ってるでしょ。ごめんなさい。うちの子、みんな自分のお友達みたいに話かけるの。」


王子にマヨネーズを渡しながら言うと、照れくさいような顔をして受け取った。


「ありがとう。」

一言そう言うと、息子の頭を撫でて行った。