恋愛はめんどくさい!

 十月下旬、中間テストが終わった後の、試験休み中の金曜日。

 私は今、浅岡高校から電車で三駅離れた大型ショッピングモールに来ている。
 そして、隣には星川先輩がいる。

 先輩と二人きりで会うのは、ファーストフード店で話をしたあの日以来になる。
 だいぶ日が経ってしまったのは、すぐに中間テストが始まったということもあるが、いちばんの原因は「学校内では秘密にしたい」という理由があるからだ。
 会話のない時間が長くなると、なんとなくモヤる気がする。でも、やはり噂になるのは避けたい。だから、この選択は間違っていないはずなのだ。

 たぶん……

 試験の最終日にSNSで連絡が来て、今日のこのデート(らしきもの?)の予定を入れた。
 この久しぶりの先輩との時間を、私は思っていた以上に待ちかねていたらしい。

「大沼さん、こっちで合ってるよね?」

 先輩はスマホの地図を見ながら、少し不安そうに私の方を振り返る。
 その仕草が、なんというか……妙に可愛らしかった。
 いやいや、その表現はさすがに失礼だろう。でも、そう思ってしまったのだ。思ってしまったものは仕方がない。

「はい、大丈夫です。ここのエスカレーターを上がったところが映画館です」
「そっか。ありがとう」

 先輩はほっとしたように笑った。その笑顔は、冷静になってよく見ると反則級の破壊力がある。
 やっぱりこの人はイケメンだと、今日改めて確信した。

 学校ではそこまで目立たないけど、先輩は制服より私服の方が絵になる。
 白のシャツ、グレーのジャケット、ベージュのワイドパンツ。シンプルなのに、妙に似合っている。
 はっきり言って、これで今までモテたことがないとか言うのなら、周りにいた女子はどれだけ節穴なんだと思ってしまう。
 しかも、その割には私の地味目な服装とも合っている。素晴らしいチョイスである。