恋愛はめんどくさい!

 恋愛というものは、なんとめんどくさいものなのであろうか。

 私、高校一年生の大沼京子は、まだ男性とまともに付き合ったことはない。だから、この「めんどくさい」というのは、ただの妄想でしかなかった。

 だが、それは昨日までの話である。


 学園祭も終わり、少し涼しくなってきた十月中旬、私はいま、浅岡高校最寄駅のファーストフード店にいる。

 なぜか、イケメンの星川先輩と二人で。

 二階のいちばん奥の、向かい合う二人席。外からは見えない場所だ。
 生徒の多くは高校がある西口の方に行くので、あえてこの東口の小さな店内に入ってくることはない、と思いたい。
 もし、こんなところを他の生徒に見られたら、絶対に噂になるだろう。しかも、私みたいな超地味な一年生ともなれば、その爆発力は計り知れない。

 きっかけは先輩からだった。帰りに話がしたいと言われて、ここに来ている。
 わざわざ校外で話がしたいというのだから、まあ、そういう話なのだろう。なんとなく意識しているのかな、とは思っていたが、こうやって突然呼び出されるのは想定外だった。

 いや、それよりもいちばんの謎は、なぜ私なのかということだ。

 これが全くわからない。

 私は背は低く、体型はどちらかといえば丸い。美人と言われることはまずないし、その自覚もある。かわいいかどうかは人によるかもしれないが、まあ人並み以上とは思っていない。と、そんな感じである。

 だが、星川先輩については、ほとんどの人が「イケメン」だと答えるだろう。
 目立つ方ではないが背は高く、女子の好感度は高いように思える。ちょっと気が弱そうな雰囲気は好みが分かれそうだが、私としては自信満々の「自称イケメン」よりはずっといい。

 そんな状況なので、当然ながら私はかなり緊張しているのである。