病棟から始まる恋 いつか声にならくても

療養病棟――。
そこは、穏やかな最期を待つ者や、重い病と認知症に囚われた者たちが集う場所。
この門をくぐる患者は数知れないが、再び自宅の敷居をまたぐ者は一人もいない。ここでの「退院」とは、すなわち人生の終焉を意味していた。
看護師の愛斗(まなと)がこの病棟に配属されて、間もなく一年が経とうとしている。
朝の静まり返ったナースステーションで、いつものように十五分ほどのミーティングを終えると、愛斗は戦場へと踏み出すような気持ちで廊下へ出た。
各病室を回り、手際よく患者たちのバイタルサインを測定していく。機械的な作業の繰り返しの中で、愛斗の心はどこか浮ついていた。
最後に訪れたのは、受け持ちの患者、佐野ひとみの病室だ。
体温計や血圧計を準備していると、背後で静かにドアが開いた。
「おはようございます、愛斗さん」
聞き慣れた、鈴を転がすような声に心臓が跳ねる。
ひとみの母親、佐野寛子だった。
「……おはようございます」
愛斗は努めて冷静を装い、短く応えた。
「今日は暖かいですね」
「そうですね。過ごしやすい一日になりそうです」
窓越しに差し込む柔らかな陽光が、彼女の横顔を淡く照らしている。愛斗は、彼女への秘めた想いに胸を締め付けられた。
娘の看病に献身的な彼女の強さと、時折見せる儚い表情。一年前から募り続けた恋心は、伝える術もないまま、この閉ざされた病棟の中で膨らみ続けている。
「それでは、また後ほど」
言葉を交わしたい衝動を抑え込み、愛斗は逃げるように病室を後にした。廊下に出た瞬間、肺に溜まっていた熱い息を吐き出す。
しかし、感傷に浸る時間は与えられなかった。
隣の病室から、静寂を切り裂くような叫び声が響き渡ったのだ。
愛斗は弾かれたように顔を上げると、迷うことなくその声の主のもとへと駆け出した。
駆け出すと大野玲子がクッキーくださいとさけんでいた。
「チョコクッキーください」
「朝ごはん食べたばかりだからあとでにしましょ」
「あげたらいいじゃないの私達年寄りだからすぐ死ぬんだなら」
愛斗は患者と話をした。
愛斗は話をしてからナースステーションにいった。
ナースステーションに行き愛斗は看護師婦長の美山康子と
赤井涼子と曾根歩と話をしていた。
「そういえば大野さんが売店でチョコクッキーを
買ってみんなで食べたいと言ってましたよ」
「うんいいよ 野山さんはクッキーや柔らくすれば
大丈夫だから」
「ありがとうございます」
愛斗は売店にクッキー買いにいきカフェオレと
お菓子を買い会計。
愛斗は会計してからお菓子とカフェオレを
ナースステーションにおいてからクッキーを持ち
病室に行った。
病室に行き愛斗は山野さんにクッキーをあげた。
「クッキー先生に許可もらったんで買ってきましたよ」
「ありがとう」
山野は玲子にクッキーをあげると慌てて食べた。
「そんなに急がなくてもクッキーはとりませんよ」
愛斗は玲子にクッキーをあげた。
クッキーをあげてから山野の所に行った。
「愛斗さんもどうぞ」
「ありがとうございます」
愛斗は受取りぽっけにいれて隣にいる野沢にもクッキーを
もらったのであげた。
「今食べるんならやわらくしときますよ」
「あ、野沢さんがはじめて喋ってくれたのなんて言ったと思う」
「野沢さんおしゃべりできたのすごい」
「うるさい」
「そう最初に喋った言葉がうるさいだったのよ」
「あんた嫌い」  
「え?」 
愛斗は野沢に「嫌い」と言われたので悲しんだ。