馬鹿国王の嫁選び!

 外国の侵略を退けたのはいいがその時の傷によって陛下はその後亡くなり、王太子様が国王となった……!


 そして新陛下が侍女である私に命じる!


「理想の嫁が欲しい!父上は母上との間に私以外の男児を設けることができいなかったではないか!これでは何かの時に困るだろう?そのために理想の嫁を得て、私はたくさんの子沢山にならないといけないのである!」



「……分かりました、どのような方が理想なのでしょうか?」



「まずは若く美しいことである!」



「……なるほど、確かにそれはよくありがちな求められるものですね、了解しました!」




「だがそれだけでは無い!」



「何でしょうか?もちろん理想という以上それだけじゃないことは予想できていましたが……」




「頭が良く無ければならない!馬鹿では理想とは言えぬ!」




「……なるほど分かりました、若く美しく頭の良い令嬢ならば、候補がある程度絞れるかと思います……!お任せください!」



「甘い!それだけではすまないのだ!」



「……まだ何かあるのでしょうか?」




「性格が優しくなくてはならない!」



「……なるほど、まぁ意地悪な女では若く美しく頭が良くても嫌なのは分かりますが……」



「でもそれだけでは無い!」



「え?まだ求めるのですか?」




「家柄も大事である!仮にも王妃になるのだから!」




「……まぁそこは仕方ないですね、これで十分でしょうか?」




「いいや全然だね、ここからが大事なのだ!」



 ええ?家柄が良く、若く、美しく、頭も良くて、優しい性格、このレベルですらいるかどうか正直怪しいのに、まだ何があると言うのだろう?十分理想的に思えるのですが……!



「さらに私が失敗した時にはちゃんと指摘して欲しいのだ!」




「……なるほどしっかりした方がいいのですね!」



「だがそれ以外は私に甘えて欲しいのだ!」



 ……はぁ?そんなしっかりした若い方はきっと甘えたりしないと思うのですが……

 いよいよもって怪しい空気になってきたぞ……!




「しかもだ、私のプライドを傷つけない方法で指摘すべきなのだ!」



「……そんな人若い人でいるわけないでしょう、考えて下さい!」



「黙れ!理想を言っているのだ、理想に妥協をしてはならぬ!」



「……妥協はしなくてもいいですが、明らかにありえない矛盾は理想でも何でもありませんよ!」



「こうるさい奴め!」



「……結局間違いを指摘しても怒るじゃないですか!」



「そこはそれ、お前みたいな年増では無く、若く可愛い子が甘えながら言うのがいいのだ!」



 ざけんなこら!って思わず言いそうになってしまった……


 駄目だこの人……そんな女いるわけが無い!




「というわけで探してまいれ!」



「断定します、絶対いません!」




「いいや私が思うということはどこかにいる!あ~そうそうもう1つ、顔は若くて童顔であること!やっぱ可愛いのにしっかりしていて、若いこれが大事なんだよ、でも私には甘えること!」



 ……いくつもの連鎖的矛盾を抱えた女を求めているようですが、断定しますが絶対にいません!



「無理です!」



「黙れ!やらぬのなら、王家への反逆と見なすぞ!」



「んな無茶な……!」



「私は本気だ!」




 ……私の王家への忠誠心は今まさに折れた……!


 先代陛下、いや歴代の陛下申し訳ありません、このボケにより、私の忠誠心は折れました……




 ということで、もっとも性格が最低と名高いクソ令嬢と言われる公爵令嬢に会って来た……



「貴女ならば、国王陛下の妻に相応しいと思いますわ!」



「オーッホッホッホッホッホ当然よ!」


 何て言いながら使用人に罵倒をするとんでもない令嬢だ。



「むしろ貴女しか無理なのよ……!」



「知ってますけどやけに強調するわねどういうことかしら?」



 私は、矛盾した要求をしている馬鹿王の戯言を教えてやると……



「簡単じゃない、その時その時で合わせた演技でもして騙せばいいのよ、この国は私が思い通りにしてやるわ!」



 ……きっとこうなるだろうと思っていた。


 この国はもう終わりだ!私は隣国に逃げる準備を今から開始する!


 ああ、国を裏切りたくはなかったが、無理難題をゴリ押して私が酷い目に合うくらいならば、さようなら!ってことで!