無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

そうだ、春の日、小さな家。
ひなたぼっこをした縁側。


おばあちゃんと、おばあちゃんが可愛がっていた猫ちゃんが二匹。


この男の子と、そのお母さんと、3歳の私。


透明なグラスの中でサイダーの泡が弾けるのをふたりで見てた。


『綺麗ね、だけど怖い飲み物なのよ』って、家の誰かが教えてくれたけど、ほんとは飲んでみたいってずっと思っていたんだ。


ごくごくと、男の子はなんのためらいもなく飲んでみせたけれど私は勇気がなくて。


そんな怖がりな私に
『どんなあじか、しらなくてもいいの?』
そう言ってにっこり笑ってサイダーを注いでくれたね。


だから嬉しくなって飲み干して、でも結局その衝撃に泣いてしまったんだ。   


私のせいで君はたくさん怒られて、遊んだのは一度きりになっちゃった。
名前も覚えてないよ。


幼い頃の苦い思い出を夢に見るなんて変なの。でもほら、ちゃんと思い出したでしょ?


私のそばで眠るこの子はあの時の男の子。こうしてまた夢の中で会えるなんて思わなかった。