無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中




昂る胸を押さえつけるような気持ちで病室を開けると、そこにはお祭りみたいに楽しそうにおしゃべりしている男の子たちがいた。


「おまえら遅いって。つーか、呼び出さんでも俺らいつもここでだべってるし」


金髪の彼は、ベッド脇でカップラーメンをすすっている。


「俺、璃央の好きなわらび餅買ってきたんだけど、購買のやっすいコレで合ってる?」


センター分けの子は璃央君の鼻先にお餅を差し出して、きなこの匂いを嗅がせているように見えた。


「つーか練習せんと文化祭に間に合わん」


短髪黒髪の彼は、寡黙に弦を弾いてる。


制服の原型を留めていない髪の色もバラバラな男子が3人、好き勝手なことを言いながら制服姿の私たちを見て、大袈裟な瞬きをした。


「いやいや、美姫と沙也可にお嬢様学校の友達とか……ないないない」


3人ともそれぞれに自分を納得させて、やっぱりまたこっちを凝視した。


「あんたら失礼すぎでしょ! 尾崎っちも羽奈ちゃんもあたしたちの大事な親友なんだからね!」  


怯える私たちの前にふたりが立ちはだかってくれた。


星菏宮(ほしがのみや)の生徒って実在すんだ。初めて遭遇した……」


「それかハロウィンのコスプレ?」


「やば、ふたりとも可愛すぎ」



センター分けが(さとし)君。
金髪は潤哉(じゅんや)君。
黒髪は慎太郎(しんたろう)君。



みんなで自己紹介をしあったら、部屋はすぐに和やかな空気になった。


3人は今度の文化祭でバンドを組む予定なんだって。メンバーを変えていないのも、練習をやめていないのも、ギターの璃央君の帰りを信じてるからだって教えてくれた。


みんな、サト、じゅん、シンタって呼び合っている。見た目は派手だけど、ここに集まる人たちだもん。みんな璃央君のことが大好きなんだ。私たち、みんな一緒だ。