無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

「そういえば、意識のない時も聴覚は働いてるって聞いたことがあります!」


尾崎さんは沙也可さんのアイディアを褒め称えてみせた。


「よし、さっそく聴かせに行こう!」


「今からですか?」 


「だって楽しかったこと、すぐ璃央に伝えたいじゃん」


そう言った美姫さんの声に、チクリと胸が痛んだ。だってふたりは前よりずっと璃央君のことを好きになってるはずだもの。


どうしよう、言わなくちゃいけない。
家同士の決め事や私たち三人の関係性のこと。


ちゃんと言わないと友達でいられなくなるかもしれない。
勢いに任せて思い切り挙手をした。そうでもしないと、弱虫に押し潰されてしまいそうだったから。


「はいっ!」


「紺野羽奈さんの発言を許可します、どうぞ」


すべて知っている尾崎さんはおどけた空気を作ってくれて、沙也可さんも美姫さんもわくわくした顔で次の言葉を待ってくれた。


「えーっと、えーっと」


「おふたりとも慌てないでください。うちの副会長は総括する言葉を探しているだけですので」


「なんかそれかっこいい」


「大丈夫、羽奈ちゃんの言葉、ちゃんと全部受け止めるよ」



話し出すのを待ってくれる三人のお友達、ほんとうにありがとう。


私、ずいぶん変われたと思うんだ。
みなさんに会えて。
碧葉君の優しさを知って。
璃央君に会って、お別れして。 
すぅ、と息を吸った。