無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

璃央はただ眠っているように見えた。
ほんとうに血が繋がっているのか?
俺と似ている部分があるのか?
どうせ見た目だけの男だ。
紺野が泣いているのに寝てる場合かよ。


でもこのままいなくなって欲しいなんて思わなかった。
こいつがどれくらい紺野を思っているのかを知らないと気が済まない。


その上ではっきりと、紺野をあきらめてもらう。この前のことを不完全燃焼で終わらせたりはしない。


璃央の母親は
「突然現れた兄という存在に戸惑っているんじゃないか、傷つけたんじゃないか」
と俺を気遣ってくれた。


明日息子を失うかもしれない人がそんなことを考えなくていい。
そう思ったけど、こんな優しさに父が安らぎを求めた気持ちがわかるような気がした。


俺が兄のことを知りたいと言ったら涙目で「柊佳さんとは正反対なの」
と笑ってみせた。


生活も勉強も何もかも適当で中途半端、見た目だけ少しマシだから毎日違う女の子と遊んでいる。


とにかくだらしない息子だけれど自分にとってはかけがえのない存在なんだと涙を流して。


それに最近取って変わったように真面目になってそれが嬉しかったらしい。
たぶんあいつなりに、紺野に釣り合う男になろうとしたんだろう。


「友達を守ろうとしたことは誇らしいの。だけど勲章も何もいらないから意識を取り戻して欲しい」


鼻をすする母親の姿に、俺は何も言えなくなった。