無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

「璃央、もう時間だよ」


頭の隅でボレロの声が聞こえた。
羽奈にまっすぐな笑顔を見せること。
これが終わりの合図だった。


ボレロは一瞬で羽奈を深い眠りの中に誘い込むと、俺のことを気にかけてくれた。
羽奈の小さな体を脱衣所のソファにそっと横たえた。 


「ほんとにこれでよかったの? 確かに羽奈様には笑顔が増えたし楽しそうだったけど、璃央は悲しそう」


「そりゃそうでしょ、死にかけてんだから」


子供みたいにあどけない寝顔。
でもこれまで俺、女の子の寝顔なんてろくに見たことがなかったかもしれない。


それに気づいたらぬいぐるみとして生きるっていうお仕置きも妥当だと思えたし、この寝顔を眺めることだって罰当たりな気がした。


長年一緒に過ごした宝物のぬいぐるみを演じて適当な嘘をつきまくって、ワンチャン狙ってるなんて幻滅だし、そんなずるいやつのまま、好きになってもらおうなんて思ってないよ。