無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

従者の銀猫ボレロがなんかあれば助けてくれるって言ってたけど、こいつは猫として学園内をふらついているだけ。


それだって乗り物みたいなものらしく、普段はずっと俺の頭の片隅にいてよく話しかけてきた。


「さっきの金猫はアリアっていってね、受け身で保守的な考えなんだよね。
あたしは逆で攻める掴む動く。そういうものの考え方で、まぁ羽奈様のためならどっちも大事なんだけど、璃央はどっち寄りなの?」


羽奈の膝の上で昼寝のふりをしている最中、脳内へいきなり声をかけられた。


それは言語以上のコミュニケーションツールを使ってるみたいな不思議な感覚でそれに応えるのは意外と簡単だった。


「ボレロ寄りだけど、羽奈に対しては陰キャになるって友達に言われた」 


「初恋なんだもんね。大好きな人の膝の上でどうしていいかわかんなくて硬直して寝たふりしかできない璃央可愛い~」


「じゃ最期の日はここにします。さよなら」


「ちょっと! つい最近まで女の子を取っ替え引っ替えしてたくせに、らしくない発言はやめなさいよね!」


本気にしたボレロはまだ死なせるもんかと俺の意識をぐわんぐわんに揺さぶった。


ぬいぐるみだから吐いたりしないんだけどそのせいでぐったりしてしまったとき、俺はクラスの女子にむんずと掴まれ、あろうことか羽奈から引き離されるという大事件が勃発してしまった。