無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

数分後に上階から降りてきた彼女は予想通り誰もが知ってる超名門校の制服を着ていた。


整えられた長い黒髪はこの子の心と同じくらいまっすぐでキラキラだし、ほとんどノーメイクなのに肌は雪みたいに白く透明感があって、少し上気した頬はたぶん天然のチーク。


眉尻をさげて微笑むのも、黒目がちな目も、丁寧な話し方も何もかもが未知の人種だったけど、自分の身分もわきまえず一目惚れしてしまった。


俺が恋? まさか初恋?
最初はそんなことはあり得ないと何度も自問自答したけれど、どうやっても彼女のことが頭から離れてくれない。


初めての感情にパニック気味だったせいで大事な用事はおもいっきりすっぽかして叱られたけど、出会いの場に導いてくれた両親に心から感謝した。


だらしない自分を恥ずかしいと思うようになったのはこれがきっかけだった。
それでよく遊んでた4人に別れを告げたってわけ。


彼女の可憐な姿を思い出し顔が火照るのを必死で隠していると、サトは廊下の低い天井を見上げながらうーんと唸ってみせた。


「でもさぁ、声かけるチャンスすらないよな。あの星菏宮(ほしがのみや)の子だろ。名前すら知らんまま俺らじじぃになるんじゃね?」


「いや、学校がわかっただけでも俺は胸いっぱいなんだが」


「陰キャ構文ウケる!」


この後も飯食いながら延々いじられるんだろうと思っていたのに、先を行っていたサトが急に立ち止まって不自然に俺の前に立ちはだかった。その向こうがやけに騒がしい。