無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中

息を飲んだとき、淡いクリーム色の清楚な和服を来た女の子が裾を思い切りたくしあげて猛ダッシュでそのプールに滑り込んだ。


母親たちが何事かと目を白黒させている間に女の子は子供を抱き上げて、むせながらも大声で泣き出したことを確認すると安堵して母親に手渡した。


でもまだ辺りが騒然としているのを利用して、その子はすぐにその場を後にしてしまったんだ。


判断力、瞬発力、行動力。
すべてを持ち合わせた彼女がヒーローに見えた。


大事な約束があったから正装だったはずなのに、綺麗に結い上げた髪が崩れたこともびしょびしょなのもたいして気にしていない。


だけど恥ずかしそうに裾を正し、胸元の返しを整える所作がすごくきれいでそのギャップにドキドキが止まらなくなった。


もしかしたら俺と同じように居心地が悪くて外でも眺めてたのかなって思ったら勝手に親近感もわいてきて。


でもお付きのものに手を取られて静かにエレベーターに消えてったから絶対どっかのお嬢様だ。


迂闊に声をかけられるような相手じゃないとわかっていても、降りてくるエレベーターが気になって仕方なかった。