無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中



「さすがに笑えなくて調べて……びっくりしたけど、これからはちゃんとあいつと向き合うから」


「待ってください、それ、どういう意味ですか? 碧葉君がむきになるようなことじゃないと思うんです。だって私たちには関係のない人ですよね?」


彼は微かに首を振ると下を覗き込んだ。


「体裁を気にしてあいつとのことを隠していたのならもうそういうのはやめて欲しい。相手が誰であろうと一歩も引く気はないよ。たとえ今彼が生死をさ迷っていたとしても」  


見下ろした先にはなぜか碧葉家の車が停まっていた。


「放課後ゆっくり話したいと思ってたけどそんな時間もなくなったから今言うね」


碧葉君は、告白をくれたあの日と同じ少し苦しそうな表情でこっちに向き直った。


「今度の会食の件、たくさん人が集まるけどいつも通りの紺野のままでいて欲しい。誰のご機嫌もとらなくていい。何も不安がらなくていい。ずっとそばにいるからつまんなくなったらふたりで抜け出そう」


誰にも隙をみせたことのない完璧な彼の耳が少し赤い。


「紺野のことは俺が絶対守るから」


ふわりと、前髪にキスされた。


「ごめん、もう押さえきれなかった」    


突然のことにびっくりしてドキドキして、何も考えられなくなった。
言葉君の唇の温度が、おでこにゆっくり伝わっていく。