無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中



あの日、美術準備室で自分達と同じようにしゃべるぬいぐるみを見たこと。


だけど猫(きっとボレロ様のこと)に邪魔されて何もできなかったこと。


ふらふらの自分たちをイケメン(碧葉君)が助けてくれたこと。


事故に遇って今は意識不明の彼も、自分たちと同じようにぬいぐるみに転生したのかもしれない。だったらどうにか助け出して現実の世界に戻してあげたい、って。


だからぬいぐるみの持ち主の私と話をしたいと尾崎さんに頼んだことを、切々と聞かせてくれた。


「びっくりさせてごめんね。でもあたしたちどうしても羽奈ちゃんのぬいぐるみの中の人が璃央君だとしか思えないの」


「だからぬいぐるみを持って一緒に病院についてきてもらえないかな? 肉体のそばに魂があればそのうち目を覚ますんじゃないかって……とにかく藁にもすがる思いなの!」


「待ってください、いきなりそんなことを言われても……」



ふたりに代わる代わるまくしたてられて、ますます混乱してしまった。


この子は小学生の頃からずっと一緒なのに、部屋から出したことすらなかったのに、それなのにいつの間にか彼女たちの恋人の霊みたいなものが私のぬいぐるみの中に勝手に忍び込んでいたってことになるの?


そんなの信じられないし、どうして私のリオ君が選ばれなくちゃいけないんだろう。
共通点なんか名前だけなのに。
いや待って? 名前といえば。